WHO(世界保健機関)とUNEP(国連環境計画)が共同で発表した「内分泌かく乱化学物質(EDCs)に関する科学的知見の現状 2012(State of the Science of Endocrine Disrupting Chemicals 2012)」は、EDCsの曝露とその影響に関する世界的な科学的知識の現状を提供する報告書
関連リンク
• 報告書全文(英語): State of the Science of Endocrine Disrupting Chemicals 2012
• 政策決定者向け要約(英語): Summary for Decision-Makers
• 報告書全文のPDFダウンロード: WHO公式サイト
この報告書では、EDCsが内分泌系に与える影響について、ヒトや野生動物の研究を基に詳細に分析されています。特に、発達初期段階での曝露が将来的な健康問題に繋がる可能性があることが強調されています。また、複数のEDCsへの同時曝露(複合暴露)の影響についても、さらなる研究の必要性が指摘されています。
フードセーフティとは単に「安全な食品」を意味する言葉ではありません。私たちはそれを、誰もが安心して、自分に合った「食」を選び、味わい、心身の健康と幸福を育むことができる社会の基盤と捉えています。しかし現実には、経済的格差や社会的孤立によって、栄養価が高く質の良い食べ物を選ぶことが難しい人が少なくありません。特に相対的貧困の拡大は、「空腹を満たす」ことと「体を育む」ことの間に深い分断を生み出しています。
また、農薬や化学物質、添加物など、目に見えにくいリスクが心身に与える影響も無視できません。こうした問題は往々にして可視化されず、個人の体調や生活環境に左右されながら静かに広がっています。食の安全と安心は、単なる物理的な問題ではなく、選択の自由・健康・尊厳に関わる深い人間的課題でもあります。
私たちは「食べること」を通じて、一人ひとりの背景や身体の違いを尊重し、多様性を土台にしたフードセーフティのあり方を探ります。
誰もが安心して、自分らしく食を楽しめる社会。その実現を、多様な視点と対話から目指していきます。
複合暴露とは、化学物質・放射線・騒音など複数の有害因子が同時または連続して人体に影響を与える現象である。
健康被害の相乗効果が懸念され、評価が困難であることが課題である。
対策には予防的規制やリスク評価の高度化が必要だが、企業や行政の情報開示の不十分さや責任所在の曖昧さが障壁となる。
社会的責任として、透明性のある環境政策や住民参加型の意思決定体制の整備が求められている。
現代の食と農業は、効率や経済性を優先した大量生産体制に依存しており、安価で加工された食品が市場を占めている。
食品添加物や過度な精製、長距離輸送による鮮度の低下など、私たちの食卓には多くのリスクが含まれている。
これらは生活習慣病やアレルギー、慢性疾患などの健康被害と関連し、結果的に医療費や社会保障費の増大を招いている。
また、食料自給率の低下は、輸入依存による食の安全保障リスクを高めており、気候変動や国際情勢の不安定化によってその脆弱性は今後さらに増すと考えられる。
こうした背景のもと、これから重要となるのは、健康と環境の両面に配慮した食と農のあり方である。具体的には、地域に根ざした有機農業や持続可能な農法の導入、地産地消の推進、食品加工や流通における透明性の確保などが挙げられる。
また、食の選択は個人の健康だけでなく、社会全体の医療負担や労働生産性にも影響を与える。
健康な食が健康な身体と職業生活を支え、結果的に福祉や社会保障の持続性にも貢献する。
そのためには、消費者一人ひとりのリテラシー向上とともに、生産者や企業、政策立案者が倫理的責任を持ち、相互に信頼できる仕組みづくりが不可欠である。
食と職、健康、社会制度を一体的に捉える視点が今後ますます重要となり、多様な主体による協働と社会的対話の場の構築が求められている。
フードセイフティー(Food Safety)
私たちが日常的に口にする食品が、微生物、化学物質、異物などによる健康へのリスクを排除された、安全である状態を意味する。これは単なる「食中毒を防ぐ」だけでなく、農薬、重金属、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)、食品添加物、加工工程における有害物質など、多様なリスクから人体を守る広範な概念である。
近年では、これらの物質による“複合暴露”が注目されており、単一物質の影響ではなく、複数の低濃度物質が相互に作用して心身に及ぼす慢性的な影響についての懸念が高まっている。
一方で、経済や農業生産とのバランスも不可欠であり、農薬や加工技術がなければ安定的な食料供給が難しい現実もある。だからこそ、科学的根拠に基づいたリスク評価と予防原則の適用、そして消費者への正確で分かりやすい情報提供が不可欠である。
また、安全性の判断は単なる「リスクの最小化」にとどまらず、生活の質や文化的背景、子どもや高齢者など多様な人々の健康を支える視点が求められる。
本質的なフードセイフティーとは、安心して食を選び、口にし、家族や地域の中で「共に食べる」ことができる信頼の文化を育むことにある。
その文化は、個人の健康だけでなく、地域社会の持続可能性や、国家・国際社会における安定や平和にもつながっていく。
地域で育まれる小さな食の安心が、結果として社会全体の安全保障の一部を担うのではないだろか。
フードセイフティーは科学と倫理、技術と人間性を結ぶ「暮らしの根幹」であり、これからの時代において、教育・制度・地域文化の中で重層的に根づかせていくことが求められている。
1. エクスポゾーム(Exposome)
・定義:
個人が生涯にわたって受けるすべての非遺伝的な環境因子の総体を指します。これは大気汚染、食品添加物、職業上の化学物質、喫煙、ストレス、生活習慣、社会的要因などを含みます。
・背景:
2005年にイギリスの疫学者クリストファー・ワイルド(Christopher Wild)により提唱され、疾患の発症リスクの理解において、ゲノム(遺伝要因)と対になる概念として注目されています。
・意義:
疾患リスク評価において、「遺伝 × 環境」の複合的な理解が可能になり、食品安全や化学物質管理に限らず、都市設計・社会政策・医療政策への応用が期待されます。
2. アグリゲート曝露(Aggregate Exposure)
・定義:
単一の化学物質が**複数の経路(経口・吸入・皮膚吸収など)および複数の媒体(食品・水・空気など)を通じて、どのように総合的に人体に取り込まれるかを評価する枠組み。
・例:
農薬が、果物の摂取、呼吸、庭作業中の皮膚接触を通じて、どれくらい体に入っているかを総合的に見る手法。
3. 累積曝露(Cumulative Exposure)
・定義:
複数の化学物質(特に同じ作用機序を持つもの)による曝露の総量を評価します。アグリゲート曝露が1つの物質に注目するのに対し、こちらは複数の物質による健康影響の蓄積に焦点を当てています。
・例:
複数の農薬が、共通の神経毒性作用を持つ場合、それらの総合的なリスクを評価する手法。
◆ 活用の背景と意義
・健康リスク評価の高度化:
エクスポゾームや累積曝露の概念により、単独要因では説明できない疾患(例:生活習慣病、アレルギー、がんなど)のリスク評価が可能になります。
・食品安全を超えた視点:
例えば、農薬残留量だけでなく、都市環境、家庭環境、職場環境、社会的ストレスなどを加味した総合的評価が政策や規制に影響を与え始めています。
◆ 推奨資料・リソース(日本語)
1. 日本語で読める概説資料
国立環境研究所「エクスポゾーム研究の進展と今後の展望」
https://www.nies.go.jp/ (サイト内で「エクスポゾーム」と検索)
食品安全委員会(内閣府)「リスク評価における累積・アグリゲート評価の概念」
https://www.fsc.go.jp/
・環境省「化学物質の健康リスク評価ガイドライン」
累積・アグリゲート評価に関する記述あり
https://www.env.go.jp/
◆ 参考文献(英語論文も含む)
• Wild, C.P. (2005). Complementing the genome with an “exposome”: the outstanding challenge of environmental exposure measurement in molecular epidemiology. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev.
• National Research Council (2009). Science and Decisions: Advancing Risk Assessment(アグリゲート・累積曝露に関する記載あり)
• WHO. (2013). State of the Science of Endocrine Disrupting Chemicals(複合曝露への言及あり)
「科学」「社会的・倫理的判断」の重要性と日本の社会にみる情報の成り立ちを考える
・誰が研究をしているのか(資金源)
・誰が評価しているのか(審議会の構成)
・統計や評価のロジックは何か
・批判的検討がどれだけなされているか
・国内やある特定の国の統計やデータに偏重しない
・利害がない真に独立した団体や機関からの情報や。
・情報を承認している構造全体のあり方や情報の出方、の分析 日本社会や欧米の特徴
「科学の中立性・透明性」
社会課題解決プロジェクト
1. プロジェクト設計書
フィールドワークで明らかにする”見えない生活課題”調査支援プロジェクト
【概要】
本プロジェクトは、表面化しにくい生活・労働・福祉の問題について、現場フィールドでの聞き取り・同行・参与観察等を通じて実態を明らかにし、社会に問いを投げかけることを目的とする。関係利害に与せず、助成金の独立性や意思決定の透明性を担保する設計とする。
【目的】
• 社会の構造的な社会障壁、声がとどきにくい方々、に耳を傾ける
• 政策や制度だけでは対策、対応が困難な生活困難の実相を記録・可視化
• チーミングによって、市民・当事者・支援者・研究者が共創する土台を築く
【対象地域・領域】
• 地域:
• 領域:生活困難、就労困難、病いと労働、孤立、制度の狭間、障害福祉、母子家庭、精神疾患、難病 etc.
【活動項目(内容)】
項目
内容
実施時期
① 現場調査
生活困難者・支援機関へのヒアリング/同行
② 相談窓口運営
実際に寄せられる相談へ中立的に対応
通年
③ 中間レポート
問題構造を図式化・文章化
半期ごと
④ SNS・市民発信
TikTok/noteなどによる「問いの共有」
⑤ 最終成果報告
フィールドレポート冊子・イベント発表
年度末
【期間】
2025年8月〜2026年3月(初期フェーズ)
【チーム体制(プロジェクトユニット)】
役割
氏名またはペンネーム
主な責任
リーダー
方針決定・全体調整・代表責任
調査記録担当
A(市民研究者)
フィールドワーク・聞き取り
相談対応担当
B(看護師)
窓口・支援者との調整
広報・共感発信
C(学生)
SNS、レポート文章作成
ファシリテーター
D(中立者)
対話設計、会議進行、中庸調整
【資金と公開ポリシー】
• 本プロジェクトの資金は全てWeb上で公開(GoogleドライブやWebサイトなど)
• 助成金の申請主体と評価・使用の決定は分離
• チームメンバーには実費・交通費・謝金の上限設定あり
【評価方法と透明性】
• 月次レビュー(Slackでの振り返り+共有メモ)
• 外部協力者によるレビューコメント(Webに掲載可能)
• 成果は公開原則(報告会・SNS・オープンPDF)
2. 役割定義書
・調査担当
現場訪問・記録・問題構造の可視化
フィールド経験重視
・支援担当
寄せられた相談への傾聴・支援機関連携
同行力・支援的態度
・広報担当
問題をストーリーテリング化しSNS等で発信
表現力・倫理観
・ファシリテーター
関係者の声を引き出す場づくり・会議運営
利害に与しない立場が望ましい
3. 活動評価シート(定性+定量)
【期間評価:2025年8月〜10月】
成果の到達状況 中間共有資料
メールマガジン+TikTok動画で共有
チームの自己評価(記述式)
• 可視化されにくい、大切な課題の可視化、社会共有、考える機会や場づくり。共有や提言に昇華。
• 中立かつ共感的なサポート
• 社会構造への問いかけ
• ステルス無所属的な市民的活動、意見、実態の可視化、の土壌